※このお話は、「境界の浸食」における章Xタクを”腐のヴィヴランテ”メンバーがみた場合のお話です。

※腐のヴィヴランテシリーズは次の通りです(リンクで飛べます)。


「腐のヴィブランテ:第3の男?」



【初見の方へのご説明】
通常の腐のヴィヴランテはギイタクの世界なのか、章タクの世界なのか分からないように描いてあります。
どちらでもお好きなように読みとっていただけたらうれしいです。

ですが!!
今回の腐のヴィヴランテは章タク側(境界の浸食側)の世界観の中での展開となっております。
ですので、苦手な方はご注意くださいませ!!









岡崎幸子が彼を目撃したのは、雨の降る午後の大学構内だった。
 
密かなヴィヴランテメンバーのアイドルとして君臨している(本人は全く与り知らぬところで、だが)、バイオリンの葉山託生と並び歩を進めているのはどう見ても、彼、である。

彼・・・以前の大学におけるミニコンサートの際に、託生と意味深な会話を密やかに交わしていた赤池君だ。
この赤池君というのが、いったい葉山託生にとってどういう位置づけの人物であるのか、そしてその会話に出てきたもう一名存在すると思われる男性の存在が、ここのところのメンバーたちの酒の肴になりつつある。
ようは色々ろ妄想して遊んでいるのだが、それらはあくまで妄想、もとい、想像の域を未だ出ることはない。

とすれば、目の前で展開されている光景はその想像を現実のものへと昇華させる絶好のチャンスなのではないか。

などなど、普段あまり使わない左脳をフル回転させ、2秒ほどで結論を出した。
そうと決まれば後をつけるしかない。
興奮で息が荒くなりそうだが、耳の良い託生に感づかれるので、極力息を吐くときはゆっくりと。そして早足、摺り足で。

いったい何を話しているのか、ここからでは会話は聞き取れないが、楽しそうであることは間違いがない。
時折託生がなんだか恥ずかしそうにうつむくのが気になるし、ポーカーフェイスの赤池君とやらがそれをなんだか愛おしそうに見つめているように見えなくもないのが、気になりすぎて蛇の生殺し状態だ。
二人は談笑しながらどんどん歩いていく。
悲しいかな、コンパスの長さの違いのために、幸子は二人に追いつくためには若干小走り気味だった。

くっ、絶対に置いていかれるものか!
意地でもついて行ってやるとの思いを胸に、ひたすら足を動かす。
気がつけば人気のない裏手へ出ていた。

あ・・・あやしい。

あからさまに怪しーい!!

これはひょっとしてすごいスクープに出会う可能性が高いのではないのか?
巧妙に隠れる場所を探しながら、少し距離を取って慎重に二人を追う。
二人はちょうど茂みに隠れる形になっている木のベンチに並んで座った。
そっと、そーっと細心の注意を払いながら、少し離れたオブジェの陰に身を隠す。
このよく分からない、球体のオブジェがいったいなんの役に立つのか、景観を損ねていると、密かに憤ったことも過去にはあったが、そうかこの日のためにこいつはここに鎮座していたのだ、と思うと愛おしささえこみ上げてくる。





「急に来てしまって、ごめんな」
「なんで、謝るの?」

並んで座ったとは言え、二人は密着していない。いわゆる”友人”の距離に等しい。
託生と、章三との間には5センチほどの隙間があった。たった5センチだが、その5センチをこれほど遠く感じたこともこれまであるまい。
それでも、構内で密着するには、託生も章三もそこまで周囲への意識を捨てきることはできなかった。
友人であればそれでも問題ないはずなのに、章三を求める気持ちがあるためか、必要以上に振る舞いに気を配ってしまう。それはきっと章三も同じなのだと、信じたい。

でも、なぜ会いに来てくれたことを謝るのか。

「いや、僕は、お前に甘えてるんじゃないかと思って、さ・・・」
「僕に・・・会いたくて、来てくれたんじゃないの?」

微かな希望を口に出す。
思えばSNSでたった一言、今日行っても良いか、という素っ気ない一言をもらっただけだった。
もらった瞬間から浮かれきっていたが、否定されたらと思うと、胸が締まる感じがする。

ぐっと、肩をつかまれて章三の目を見た。

「当たり前だろ。だから言ってるじゃないか。お前に、甘えてるんじゃないかって」
「甘えてるなんて、言わないでよ。もっと一緒にいたいのは、僕の方なのに」

いつもとは場所が違うせいか、普段なら口に出さないような願望が言葉となって出てくる。
章三の目が細められた。

「・・・お前、場所、分かってるよな」
「分かってるよ。だって、僕だってもっと会いたいの我慢してるのに、そんなこと言うから。僕だけこんないっぱいいっぱいになってるのかと思って」

一度口からあふれ出した本音は、なかなか止まってくれない。
もうこの際全部言ってしまったら良いじゃないか、と、もう一人の自分が背中を押してくる。

「君に分かって欲しいんだから、僕は今、言いたい」
「やめろよ」

まるで呆れられたように止められて、喉がぐっと詰まる。
章三との距離がつかめないまま、突っ走った自分にはっと気づき、そして同時に章三との温度差に気がついた。

「ご、ごめ。」

どうしよう、重たいと思われた!

いたたまれずにとっさに立ち上がったのを、再びベンチに引き下ろされる。
いや、着地した先は、正確にはなんと章三の膝の上だった。







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まさかの3年ぶりぐらいのヴィヴランテでした・・・
章タクを女子学生視点から書いてみたかったので、やっと書けてうれしいです。
あ、もちろん彼女たちは「腐」でございますよ!
美形男子たちがいちゃついてるのを目撃とかできてたら、大学生活さらに楽しかっただろうなぁ(妄想)…笑)

5月1日、2日はお休みを頂戴しました。
明日より旅立ちますため、3~5日ぐらいはコメント等のご返信が滞るかもしれません、すみません。

島タクの小話への拍手ありがとうございました。
しのさま、ちーさま、かなさま、ラッキーさま、三平さま、rinさまコメントありがとうございました。
皆様の妄想力(笑)と創作力がすごすぎて、PCの前で一通り悶えさせていただきました。
ごちそうさまでしたー!これで萌え活力がまたフルボルテージです(´ρ`)

非公開メッセージもありがとうございます!
(4-16 15:12, 15:17, 4-17 22:57 イニシャル"K"の方)
とうとう島タク(島→タクですかね)を書いてしまいました~。
表ではなかなかここまでのアクションって難しいのですが、ついつい欲望が先走ってしまい(笑)
でもでも楽しんでいただけてうれしいです!
コメント欄の方でも皆様盛り上がっていただけましたが、同じようにこのカップリングで妄想できてるって思うと、うれしいですよね~♪
またぜひお願いいたします!
・・・いずれなんらかの形で続きを、と考えてます(*´з`)。