Halloweenにて仔猫の鳴き声が上がる約2週間前・・・の昼下がり、エグゼクティヴ・オフィスにて。




「そろそろHalloweenか・・・」

ギイはフカフカの椅子にふんぞり返りながら独りごちた。
目の前にはタブレット。
御用達のネットショッピングサイト。 

毎回なんだかんだで二人で盛り上がっているが、今年はどうするか?

ギイには常々願っていることがある。

恋人のあの美しいカラダを、さらに美しく飾りたてたいという欲求だ。
しかもそれが自分の為だけの飾りであれば、なお、良い。

贈り物などして、色々美しく着飾ってもらったことは数あれど、そういえば、素肌はまだだ。
意外にも、ランジェリーはまだ贈ったことがない。

一つには、あまりにも露骨すぎるのでは、というのがある。
下着なんて真っ正面向いて贈った日には、いかにもベッドに直行して、それを着けたタクミを堪能し尽くしてから一枚ずつ剥がしていきたいというギラギラした下心を素直に白状しているようなものである。
まあ実際その通りであるから、別段かまわないのだが、いつまで経っても初々しいギイのタクミちゃんは、恥ずかしさが勝って、真っ向勝負したところでそれを着けてくれるかどうかはわからない。

ヘタすれば、恥ずかしさで布団をかぶってベッドから出てきてくれない可能性だってあるわけだ。
出てこなくても、布団を剥がすだけだが。

「さて、どうするかな」

ネットで華やかなランジェリーを眺めながら、それらを身につけたタクミを想像し、口元が緩む。
どれも似合うだろう、当然。
だが、タクミの美しさをもっとも引き立てるものでなくてはならない。

「おっ、これなんかいいな・・・」

タクミ自身をラッピングするようなデザイン。
リボンを解くのが楽しみすぎて興奮する。

おっと。
まてまて。まあ、まて。
落ち着け。

オヤジ臭いな、今のは。
基本女であるものの、皮一枚下には、おっさんが住んでいると思う。
あまりタクミに悟られないようにしないと。逃げられたら困る。死ぬ。

「よし、これにするか」

先ほどのリボンがメインデザインのセットアップをカートに放り込む。
あとはどう着せるところまで持って行くか、だが。

「なんとかなるだろう」

あのランジェリーを身に着けたタクミを見るのが楽しみすぎる。
2週間も待ちきれない。

「そうだ、Halloweenと言えば、仮装だよな」

ちょうどいい小物が、同じショップにアップされている。

「・・・たまらんな、これ・・・これ着けたタクミとか・・・もはや犯罪だろ」

やばい。
楽しみすぎて、ウキウキしてきた。
2週間後が待ちきれなくて、仕事が手に着きそうにない。

「よし、タクミ待ってろよ」

絶対にこれを着て、そしてこれを頭に乗せたお前をベッドまで運んでやるからな。



新たに楽しみを作ったギイは、上機嫌でタブレットをオフにした。

「お時間ですが」
「今いく」

扉の向こうから、父親の有能すぎる美人秘書、島岡の落ち着いた美声が聞こえてくる。
遅れると、背の高いギイよりさらに少し上の目線から冷たく説教されるのが落ちだ。



さて、楽しみも作ったし。
がんばって仕事に打ち込むか。

「・・・何か、ありましたか?」
「ん?ちょっとな」

島岡に気味悪がられるほどニヤニヤしながら部屋を出たギイは、スキップせんばかりに午後の会議へ向かったのだった。



「・・・タクミさん、お気の毒に」

その島岡が、後ろでそっと呟いていたことは知らない。



2週間後のイタズラの夜。
ギイはリボンで飾られた砂糖菓子よりも甘い仔猫を、朝までたっぷり堪能。
その想定以上の威力に理性も簡単に吹っ飛んだ。

一方、仔猫は起き上がれなくなったとか。 




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sideギイの小話だとお伝えしておりましたが、Trick and Trickの裏話でした。
悪ノリしすぎないように、このあたりで止めておこう。
個人的にはクールな美人秘書 島岡女史を出せてうれしいです(笑)

ギイタクドリンクの記事につきまして、拍手ありがとうございました。
また、しのさま、ちーさま、rinさまコメントありがとうございました。
アホネタにお付き合いくださって・・・ほんと、すみません。

非公開メッセージもありがとうございました!
(1/17 22:41 イニシャル"K"の方)
コーヒーと練乳、読んでくださってありがとうございました!写真2枚も失礼しました~。
ひとたび混ざり合うと、もう分離できない(当たり前(笑))二人は後戻りできないんですよね~( ̄▽ ̄) 
こんな、ドラマも、シリアスポイントも無いようなアテレコでしたが、癒しにしてくださってありがとうございます!
私は頭空っぽにして読めるものが好きで、お仕事で疲れた時などにちょっとくすっと笑ってもらえたらうれしいです。
MaxCoffee自体も激甘なので、もし見つけられたら、疲労時オススメです、間違っても食事中や、ケーキと一緒に食べてはいけません(笑)
続編も描けたらいいなぁ。擬人化も楽しいし、あとはまた職場や街中でイケメンカップル(←違う)を探して、色々妄想を繰り広げたいと思います(≧∇≦)